硲道夫Pが教育実習に行ったその後
以前、教育実習に行ってこんなブログを書きました。
実習中、生徒の前で進路について話す機会があったんですが、ただ自分の成功体験を話してもつまらないだろうと思って「みなさんアイドルは好きですか?」から始まる硲道夫の話をしたことがありました。
「私には好きなアイドルがいます。
彼は32歳、元数学教師の新人アイドルです。
びっくりですよね。
彼は教師時代、ずっと自分の指導が生徒に伝わっていないのではないか?と悩んでいたんです。
でも、ある時文化祭にライブをしに来たアイドルに熱狂する生徒を見て
"生徒を導くのは教師ではなくアイドルだ!"
と思って即辞表を出してアイドルになってしまったんです。
ね?すごいよね。
でも、私にはずーっと疑問だったことがあって。
やっぱり教師の方が生徒と直接関わる機会も多いだろうし、アイドルが好きなのは必ずしも生徒とは限らないじゃないですか。
だから辞める必要なかったんじゃないかなって。
だけど最近わかったことがありました。
彼にとっては教師もアイドルも"生徒を導く"という夢のための手段だったんじゃないかって。
みなさんにも夢があると思います。
それは必ずしも職業じゃなくていいと思うんです。
お金が欲しい、毎日おいしいご飯が食べたい、大きな家に住みたい、そんなことが夢でもいいと思うんです。
だからどの大学に行くかもきっと手段のひとつ。
受験が上手くいかなくても人生は終わりじゃない。夢も終わりじゃない。
その職業に就いて何がしたいかを夢にして欲しいです。
そこが決まっていたら32歳でアイドルにだってなれると思います。
何かを始めるのに遅すぎることはないし、可能性は無限大です。」
みたいなことを話したことがあって。
この話がどれくらい生徒に響いたのか分からなかったですし、下を向いている子も、つまらなそうに話を聞いている子もいました。
2次元のアイドルだという話は最後に少しだけ話したくらいでした。
教育実習を終えて、実習は楽しかったけれど、教員にならない私にとっては「いい経験になったな」「でも就活で忙しいこの時期に行くものじゃないな」と思ってしまう自分がいました。
教員にならない私が実習に行った意味は果たしてあったのだろうかと、たまにぼんやり思ったりしていました。
先日、母校に顔を出しました。
生徒たちが「先生!」と私に話しかけてくれる中で、とある男子生徒が「先生!S=M聞きましたよ!」と声をかけてくれました。
「衣装とダンスを見た時ダサ!と思ったけど、歌詞がいいですね!」と、タケノコダンスをやってくれて、それが本当に、本当に、嬉しかった。
初めて"生徒を導く"という言葉の本当の意味が、わかった気がしました。
硲先生が見ている世界が私にも少しだけ、ほんの少しだけ、見えた気がしました。
硲道夫先生、あなたの選んだ道は間違ってなかった。
私に、教育実習に行った意味を与えてくれて、ありがとうございました。
とてもとても大切なことを教えてくれてありがとうございました。
担当としてあなたと出会えたことを心から誇りに思います。
これからもあなたの見ている世界の色を、私に教えてくださいね。